愛を求めていいんだっていう場所
ここに来ると愛があるって僕は感じてもらえてるんじゃないかなって思います。
違う言葉で言うと安心できる場所であったり、また違う言葉で言うとチャレンジしていい場所、
失敗しても許される場所だと思うんですよね。
NPO法人5loaves チャプレン 城村 英志
5loavesが目指すもの
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5loavesの活動について
インタビュアー:
本日はよろしくお願いします。
まずは城村さんのこと、5loavesの活動について教えてください。
城村さん:
NPO法人ファイブローブスの城村と申します。
私自身はここ駒ヶ根高原教会の牧師を務めながら、NPO法人の理事長として活動させてもらっています。
ファイブローブスは、障がいを持たれている方々を支援する団体です。
知的や精神に障がいをお持ちの方々がいらっしゃいます。そういった方々の生活と日中活動の支援を行うことが主な目的です。
具体的には、彼らが共同で生活するグループホームの運営と、日中活動の場としては、この森の中で鶏を育てて卵やシフォンケーキを販売したり、街中ではベンガルカレー屋さんの共同経営、また古い洋服をおしゃれに扱うヴィンテージ古着屋さんを開業するなど多岐にわたるのですが、それらを障がいをお持ちの方々と一緒に運営しています。
はじまりのきっかけは「弟(現代表 城村聖太)さんのひとこと」
ファイブローブスは創設からまだ5年ほどの新しい法人です。今は私が理事長を務めさせていただいていますが、この法人の始まりは私の弟夫婦からです。
彼らが「兄さん、障がいを持った方が自分らしく過ごせる場所をつくりたいんだけど、手伝ってくれないか」と相談してきたのです。
きっかけは、弟(現代表 城村聖太)夫妻の長男つまり私の甥が生まれたことでした。この子は生まれる前から重度の障がいを持っていることが分かっていました。
体が弱く寝たきりの状態で育つこと、生涯自分で食事をすることも、自分で歩くこともできないことが分かっていた中で生まれてきました。
ですから、この子の誕生の際には、弟夫妻には大きな喜びと同時に複雑な思いもあったそうです。
「自分たちに何か悪い事があったのか」「この子は本当に幸せになれるのだろうか」そんな葛藤もあったそうなんです。
夫妻は、生まれた長男を交代で寝ずにお世話するわけです。
日に日に大変さも増して行くのですけれど、彼の小さな命に触れていく中で、「この子がここにいるだけで幸せ」と思えるようになったのだそうです。
そして「この子が生まれた理由は何だろう?」と考えるようになりました。
熟考の結果、障がいを持って生まれたお子さんのご両親が「この子が生まれて良かったね」って心から言いあえるような場所を作りたいと言ってきたんです。
じゃあやろうと言うことで、周りの皆さんに声をかけるとたくさんの方に応援を頂くことができファイブローブスが設立されました。
名前の由来
『ファイブローブス』という名前は日本語で『五つのパン』という意味です。聖書の中に出てくるある少年が、五つのパンと二匹の魚を神様に捧げると、これが祝福され、結果5千人の人がお腹いっぱいになったという不思議な奇跡のお話からつけました。
どんな人だって、神様の目から見たら高価で尊く、可能性に満ちた存在だと信じています。
障がいを持たれた方、その親御さんも、お客様もスタッフも、なんなら飼っている鶏たちだって、「ここに来て良かった」「私がいる意味がある」そう思ってもらえるファイブローブスになれたらなって、いつも思っています。
5loavesの夢
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5loavesの夢
インタビュアー:
ありがとうございます。
5loavesには夢があると城村さんがおっしゃってるとお伺いしました。
城村さん:
私たちは夢はたくさんあるんですよ。
大きい夢からいきますとね、このファイブローブス作った時から言ってることがあって、それが「いつかパリコレに出たい 」と思っているんです。
障がいを持たれている皆さんや、私にとって甥っ子、弟(現代表 城村聖太)夫妻の長男をね、彼をパリコレに立たせたい、どうせなら皆で立ちたいって。
「素敵な世界」ってこんな感じ?
パリコレに障がいを持っている方々が日本から行って、そしてファッションの華やかな世界に彼らが出られたら「きっとそれっていい世の中だよね」って、そんな妄想してるんですよ。
寝たきりの子がおしゃれしてカートに乗ってきて、その横を障がいを持っている方々が一緒に歩いてるって。
「そんな世界って素敵だよね」って、そこから私たちの活動って始まっているんです。
では、その夢のために何をしていこうかって(考えてそれぞれの活動が)あるんですよ。
まだまだありますが、一部を^^
そして、将来の夢としては、私はアフリカのセネガルという国に2年間お世話になったことがあるので、そこでいつかお返ししたいという思いもあります。
ちょっとコロナの影響で計画が止まっていますが、いつかセネガルで、障がいを持たれた方々とレストランを作りたいというのが夢で、そんなことも計画に入れながら活動しています。
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5loavesが目指すもの
インタビュアー:
素晴らしい夢のお話、ありがとうございます。
そんな5loavesが目指すものとはいったいどんなものなんでしょうか。
城村さん:
「ここに来て良かった」「ここを見つけれてよかった」との声が僕たちはとっても嬉しいんです。
多分ここに集う皆さんが、ここは自分がいてもいい場所なんだと感じてくださっているから、そう言ってくださるんだと思うんですね。
自分がいてもいい場所って?
まっすぐ言うと、ここには愛があるんです。 愛に溢れた場所でありたいと、僕だけでなく、ここに集うスタッフも利用者さんもそう願ってくださっているんだと思うんです。
誰の中にも必ず愛があるんです。でも、少し愛に乾いている時だってある。
だから、ここに愛を求めて来ていいんです。
この場所は、来て堂々と「愛されたい」「愛してるよ」って言っていい、そういったことを発信していい場所だって、僕は思っているんです。違う言葉で言うと「安心できる場所」であったり、また違う言葉で言うと「チャレンジしていい場所」だし、「失敗していい場所」だと思うんです。
あなたの大事な場所になれたら
どうせ失敗するならここで失敗したらって、いつも思ってて。 どうせ喧嘩するならここで喧嘩したらいいよと思ってて。 でもみんな愛を持ち寄ってくださるので、必ず最後には赦し合いがあります。
だからここは「ごめんね」って言える場所だし、多分昨日よりも今日の方が明日の方が、もっと本当にその人のことを分かっていける場所だと思うんです。
そういった所をたくさん作っていきたい、というのが目指しているところですね。
ちょっと漠然としてるけど、そんな場所が僕にとっても誰にとっても必要で大事な場所なんじゃないかなと思うんです。