てんつくマン ✕ 城村英志
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てんつくマン ✕ 城村英志
てんつくマン(以後、てんつく):よろしくお願いします。
城村 英志(以後、英志):お願いします。
英志:
てんつくマンさんのことは、20年ほど前に「天国を作るもの」の映画を初めて見て、衝撃でした。
すごいエネルギーじゃないですか。
僕あの頃、確かね、どういう時だったかっていうと、
その少し前まで アフリカのセネガルって国に2年間行ってたんですよ。
それで帰ってきたばっかりだったんですよ。
てんつく:
僕の情報だと、英志さんは牧師さんということはお聞きしてるんですけど。
ファンキーな牧師っていうのはね、お聞きしてるんですけど。
英志:ファンキーではない!全然普通なんですけど(笑)
てんつく:いや、全然普通ではない(笑)
お仕事でセネガルに行ってらっしゃった?
英志:青年海外協力隊ですね。
てんつく:はいはいはい。行ってはったんですか?
英志:どうしてもアフリカで井戸を掘りたくて。
てんつく:へぇー。
城村英志(5loves元理事長)の活動のルーツ
英志:
小さい頃に、井戸を掘ってそれで喜んでいる青年と現地の方々のテレビを見て、めちゃくちゃ感動したんですよ!
こんな大人になりたいって、めっちゃ素直なので。
そのまま大人になって行ったんですけど、行ったところ水がすごいある町だから(笑)
てんつく:もう掘らんでええてと(笑)
英志:
他の隊員は皆さん井戸掘ったりしてるんですけど、僕が行ったところはもう水があるところで。
でもそこでいろんないい経験させていただいて。
帰ってきて、さて自分がこうやって経験したものをどうやって活かしていければいいんだろうなとか。
どうやってこの先、生きていくんだろうなって。
同期の皆さんは大学出た後もう就職してるわけですよ。
立派に働いている中でなんかこう裸のように帰ってきて、さあこの日本でどうしようか。
っていう時期だったと思うんですよね。
てんつく:ちなみにね、英志さんの親が教会の方だった?
英志:はい、牧師でした。
てんつく:じゃあいつかは、あとを継ごうかなみたいなのはあったんですか?
英志:小さい頃はありました。
牧師になりたいって言うと親が喜ぶじゃないですか。
やっぱ親を喜ばせたいし、でもまんざらでもなかったんです。
でも高校生・大学生になってくるとこれはえらい仕事だぞと。
てんつく:なるほど。
英志:逃げました。
友達にも自分クリスチャンって言えなくなって。
なんかマイノリティじゃないですか。
親が牧師で酒飲んでいいのみたいな思われるんじゃないかなとか。
てんつく:そうかそうか…
英志:清く正しく生きなきゃみたいな、実際若い時ってやんちゃしたい。
てんつく:そうですね。
英志:これは教会で牧師になるなんてと思ったので、逃げてました。
てんつく:なのにセネガル行ったわけ?
英志:
セネガルはもともと小さい時から行きたくて井戸掘りたかったので。
野菜指導だったんですけど、小学校でいろいろ活動させてもらって、子供たちに野菜栽培を教えたり養鶏やってたんですよ当時。それが今でも繋がってるんですけど。
それで帰ってきて、でも牧師になる気はないわけですよ。
でも逃げまくってるので。
教会からも少し逃げてた時期なので、だから自分のアイデンティティがすごくぐらついてる時期なんですよ。
だから何をしようか。
でもセネガルに行って、一つこう学んだことあるんですけど。
やればできるんだなって感覚はなんか持つことができて。
アフリカで生きてる方々の力強さや生きる力を見た時に。
てんつく:なるほど!
英志:僕もこうやって力強く生きたいと思ったんですよ。
てんつく:うんうん。
てんつくマンさんとの衝撃的な出会い
英志:でもさて目の前でやることはありました当時。
期待されることもあったし、これが自分がやらなきゃいけないなと思うんだけど。
これずっとやる仕事かどうかって悩んでた時期なんですよ。
そんな時にてんつくマンさんの、こう正しいことを、こんなに大きな声で言える人がいるんだって。
てんつく:そうですか(笑)
英志:こんなに恥ずかしがらずに正義を語れるんだっていうのは。
てんつく:はっはっは(笑)
英志:僕はその頃シャイだったので。
てんつく:そうか、なるほど(笑)
英志:だから愛について語るとかってなかなかできない時期だったんですけど。
てんつくマンさんって、めっちゃこうそういったことを恥ずかしげもなく。
てんつく:はっはっは、なんでやねん(笑)
英志:語ってるあのイメージね。
てんつく:そんな語ってたかな(笑)
英志:いや、伝わりました。
それで、あ!ありなんだ!って。
日本でもこうやって生きてもいいんだと思って、僕の中で生きる力というか、
こんなに堂々と生きていいんだって語っていいんだと思った時に。
それまでいろいろ自分の中でこう隠してる自分がいたので。
出してもいいのかなって思えたのはすごく大きかったです。
てんつく:そうですか!
英志:海外では強かったですよ。
でも日本に帰ってくると、少しこうちょっと良い子でいなきゃなって思うところがあって。
てんつく:ちょっと抑えてね(笑)
言いたいこともちょっとこれはこう言ったらこう思われるのはみたいなちょっと抑えてたところが、「別にええやん!」と「思ったんやからええやないか」みたいな。
英志:かっこいいと思ったんですよ。
僕だけじゃないと思いますけど、ずっと会いたかったんですよね。
てんつく:そうですか。
てんつくマンさんのエネルギーのルーツ
英志:なんでですか?
あのエネルギーはどこから来たんですか?っていうの今日僕が一番聞きたいことです。
てんつく:うーん、どこから来てるか?
ひょっとしたらですよ。
僕が生まれたところが部落だったんですよ。
小学校の時いきなり親が引っ越しして、引っ越しする理由も教えられずに「なんでやねん」みたいな感じで。
元々の学校でその部落の授業とかあるじゃないですか。
部落の人がいるから差別してはいけませんよ、って言って。
僕は心の中でこのクラスの中にも部落の人間がいるんや。
誰やろうと思ったら後々「俺やないかい!」ってことがわかったぐらい親はひた隠ししとったんですよ。
お姉ちゃんの結婚の事とか考えて、お母さんの実家の方に引っ越しをしたみたいな感じで、
そんなん僕が全然知らんかって。
姉が結婚する時に相手の家庭が、うちの家庭が部落やからっていうことで、
結婚反対みたいな感じで「許さん!」みたいになった時に。
「アホちゃうか」と思って。
「何言ってんの」って。
どこで生まれたとか、それに対してうだうだ言ってる奴はアホちゃうかと思って。
そこから、じゃあなんでこんなこと起こってんだろう?
みたいな感じで、勉強もできへん俺が調べたら。
なんか江戸時代から士農工商も含めて。
ちゃんと調べたら士農工商もまた全然違う意味やねんけど、
勝手になんか士農工商・穢多・非人にみたいに。
なんかこうランクをつけていって。
みたいなとこから、未だに引きずってんのか、みたいになった時に。
ほんまにアホやなと思ったんですよ。
でもその社会を一回ガラガラガッシャンってやった幕末の志士とかがすげえかっこいいなと思って。
で 坂本龍馬にシビれて。
龍馬さんみたいな生き方したいなと思った時に。
なんか自分の中で世の中の問題を、拳を握って戦って変えるっていうのは、
「なんかちゃうなぁ」と思って。
いかにそれを俺何で、そもそもお笑いを7年間、ダウンタウンさんとか島田紳助さんの下でやってたっていう。
あんな超芸能界でも完全にトップ中のトップから可愛がってもらって。
教えてもらったっていうことは、これは俺、多分この不条理みたいな世界を「笑い」で変えていくっていうのが、俺の 役割だと思ったんですね、多分ね。
英志:そういう時にお笑いを続けていこうじゃなくて、世界変えましたよね?
マルコムXとの出会いと独立
てんつく:あ、それはですね。
マルコムXって映画があって。
それは黒人の差別ってやつで。
マルコムXは最後死ぬ時に、教会で語る時に、情報が入ってきて。
今日銃を持ってるやつがあなたを殺しに来るから、
受付で全部銃をチェックしましょうって言った時に、マルコムが。
「その人らを信じることができないのに、そんなことを疑い始めた俺は多分 世界を変えることはできへんから、もしホンマに撃たれて死ぬんやったら、もうそこまでや」
って言って検査せずにで本当に打撃たれて死んで。
で始めは「力!」言うてたのがキング牧師と出会って「あ!力じゃないわ、愛やわ!」って言って変わっていったマルコムXの映画観た時に、俺めっちゃくちゃ感動して映画館で席から立てなかったんですよ。
「かっこいい!」と思って。
それ吉本の時ですよ。
それで、舞台でマルコメXをやったんですよ。
でそれを笑いをいっぱい入れながら、時代とかも変えながら、なんか伝えたくて、伝えたら。
ホンマにあの舞台終わった時にお客さん達の握手が今まで「今日面白かったです」っていう(軽い)握手が、
「ギュ〜〜〜!」っていう「すっごい良かったです!」
みたいな(力強い)握手された時に
「あ、俺ってこういう風なメッセージ伝えたい人なんやな」って思って。
英志:笑いだけじゃなかったということですね?
てんつく:そうなんですよ。
で次の日、トイレで吉本のお偉いさんと、トイレで一緒になって、おしっこしながら、
「ノリヤス(てんつくマンさんの名前)」って言われて、
「なんすか?」つって。
「昨日の舞台見たぞ」って言って。
「あ、そうすか、ありがとうございます」って言ったら。
「お前お笑いやから、別にあんなメッセージとか出さんでええからな」
って言われたんですよ。
「えー!?」言うて。
「いやいやいや、俺アレやん!思ったんやけど!」と思った時に、
「お笑いのノリヤス」っていう
「お笑いの」っていうのがついた瞬間に、俺こうやって(大きく手を広げて)翼で飛びたいのに、
「お笑いの」ってついたらこうやって(小さく手を窄めて)飛ばなあかんやと思った瞬間に、
これ「お笑いの」っていう看板外さなあかんわって。
それで、お笑いやめたんですよ。
英志:飛ぶために必要だったんですか、(看板を)外すのが。
てんつく:そうです。
もうシンプルに「どうも軌保博光でーす」ってお笑いもするけど、
こんなメッセージも伝えてまーす、みたいな。
で、それも吉本に伝えたら、やっぱり本気で伝えたら「分かった」って、初めて円満退社させてくれたんです。
すぐに1本目の仕事を吉本がくれたりとか、「お前金無いやろ」って。
なので、なんかこう自分がほんまにやりたいことっていうのをやったら、
なんか常識なんか変えれてできるから、多分そこからなんか勝手に「しょうがない、しょうがない」って言って諦めてる人と出会ったりすると、「いや、しょうがなくないよ」だってこん中に力あんねんから、やればできるやんっていうことを伝えようよ。
みたいなそんな気持ちになったんだと思うんですね。